『神機4機のロック完了・・・封印輪の装着確認して下さい・・・』
4人はふわりと神機のコックピットから飛び降りた。
「お疲れ様です」
通りすがる整備員が敬礼する。
その一言にティグナスはぴたりと立ち止まった。
「・・・あんなのでどうやって疲れろって言うんだ?!」
あまりの声の大きさに、機体の点検を始めていた作業員が一斉に振り向いた。
「まぁ抑えて抑えて・・・」
そう言ってなだめつつセアがティグナスの背中を押し、
世界最強と言われる天使4人はまた歩き出す。
不服そうな表情のティグナスの横を歩きながら、
賛成するように軽くうなずきながらアストが言う。
「大体何であんな雑魚を俺たちが相手しなきゃならないんだ?
あれぐらいエイド3級でも楽勝だろ」
「まぁそうだけど今エイドレベルの人たちは忙しいからなぁ・・・」
本館へ続くドアのロックを解除しながらジェシルが言う。
「なんたって明日からは年に一度の進・・・うわっ!」
開いたドアからちょうど入って来ようとしていた人に思い切りぶつかった。
「コーリアさん?!大丈夫ですか?」
コーリアと呼ばれた女性は、ジェシルが差し出した手につかまり、
やっと体勢を立て直す。
「大丈夫よ、有難う・・・ってあなた達まだこんな所に居たの?
放送が聞こえない筈だわ・・・」
機械音が鳴り響くドック内を呆れたように見渡して目を細めた。
「で・・・セクルのあなたがわざわざ伝えにくるからには
それ相応の理由があるのでしょう?」
ジェシルの鋭い質問に少し考えるように口元に手を当てながら答える。
「私が来るほどの事でもないんだけど・・・
今は上がるだけ上がっちゃった人以外は大忙しだからねー。
マネージの子達も勉強中だし・・・」
「マネージも明日から試験なんですか?」
「そうよー。近頃物騒になってきたから全部一気にに終わらせたいみたいね」
「いくら早く終わるからってほとんど全員手一杯ってのはマズイんじゃ・・・」
「手の開いてる俺らが有能だから心配ないって」
こき使われてさすがに機嫌の悪くなってきたセアが言った。
「あら、あなたたちも今からやる事が山ほどあるのよ?」
意味ありげに微笑むコーリアを、4人は複雑な面持ちで見る。
「やることって・・・?」
「まぁいろいろあるんだけどまず始めは天使適性テストね・・・」
「適性テスト?!何でだよ?この前やったばっかりじゃねーか!」
面倒くさいプロセスの数々を思い出し、不快感をあらわにするティグナス。
「アルヴァ様がおっしゃった事だから仕方ないわね」
「・・・あの若作りオヤジ・・・」
「今年は第5天使候補が大勢居るらしいからせいぜい追い抜かれないようにね」
「第5天使?」
「そ。エイド1級の進級試験の一部よ」
「はぁ・・・そうですか」
「ピンと来なくても仕方ないわ。そのうちアルヴァ様からお話があるでしょう。
とにかく今は適性テストの準備しといてよ!」
嵐が去った後のように、4人はお互い顔を見合わせ
その場にしばらく立ち尽くすのだった。

→第二章