Tears of Angels 第一章

『敵3体確認・・・前方127リート、ポイントD381』
『敵の移動スピードは14リート/秒、後5秒で接触します』
『ターゲットロックオン・・・レーダーイリテーター発信・・・完了』
機械音とともに流れ込んでくるオペレーターの声。
聞き飽きたBGMをかき消すように仲間の声が響いた。
「なぁ・・・魔物相手にレーダーイリテーターって意味無くないか?」
「普通に考えればそうだな」
「そんな事気にしてる場合かよ!敵様のお出ましだぜ」
「めんどくせーな・・・俺寝てないんだよ・・・」
『敵分かれました!ポイントA013、E459とM204です』
「了解・・・攻撃開始します」
次々と入ってくるアナウンスに少しも急かされる様子を見せず、
しぶしぶとコントローラーを握る手に力をこめる。
「さて・・・一番乗りはどいつかな・・・」
左から猛スピードで突進してくる巨大な黒い影。
「たまにはもっと芸のある攻撃をしたらどうだ?」
敵の方をちらりとも見ずに軽々と避けた。
こともなげに渾身の一撃をかわされた方は勿論面白くない。
凶悪な顔をいっそう醜くしかめ、それでもさっきの失敗にこりたのか、
今度は標的を変えて襲いかかって来る。
「突進するだけじゃ勝てないよ・・・でかい頭の割に中身は少ないんだな」
たった一つだけの命令をインプットされた意思のないコンピューターのように
突っ込んで来る魔物の進路から退くと、
レミエルはすぐ後ろに回り、それと同時に構えた細身の剣を一振りした。
頭の芯まで響く悶えを発していた怪物は、
その音によって操縦者たちを10秒と苦しめることなく煙となって消えた。
「アスト!後ろ!」
アストの乗るレミエルが振り返ると同時に、
真後ろにいた敵は真っ二つに裂け、煙となる。
その中にうっすらと影が見えるのはジェシルのミカエルだ。
「後ろがスキだらけだよお兄さん」
声が聞こえるだけとはいえ、ちょっとニヤけた仲間の顔が頭に浮かぶ。
しかし助けてもらったのは事実である。
「・・・来てるのはちゃんとわかってたさ」
「それにしては反応が遅かったんじゃないか?」
ふざけ口調とはいえこう言われてしまっては反論のしようがない。
「・・・ありがとよ」

「アストもかたなしだな」
「まぁジェシルに言われちゃぁな・・・プレミアには逆らえねぇよ」
「・・・怒らすと怖いしなぁ」
「おっと・・・こっちも敵さんのお出ましだぜ、セア」
少しは考えたのか、敵は後ろから突進してくる。が、
セアのラファエルとティグナスのウリエルは難なくそれをかわし、
次の瞬間には原形を失って消え去った。
「っか〜雑魚過ぎ!!」
ティグナスが物足りなさをいっぱいに詰め込んだグチをもらした。
『敵三体の撃退を確認・・・4天使帰還して下さい』

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